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ついったーで診断メーカーでフォロワさんのリク受けますみたいなのがありまして。
七尾さんのを受けました。
みさわさんとヴァー、もしくはコバ家

久々に文章書きました。
みさわさんとヴァーダ

短文です。

ゲロ注意。




 

 


 ギルドから出ると催したため、裏に回った。
 びちゃびちゃと一頻りえずいてから、気分の優れない顔を拭い裏路地へと体を向けた。
 やや日当たりの悪い建物の背中と手入れの悪い林の間に挟まれた道に男が1人、こちらへ歩いてくる。
 顔や体に奇妙な紋を入れている。藤色の髪は中身の軽さを物語るように逆立ち、歩く振動で端がわずかに揺れる。背格好も立派な好青年と言ったところか。ただ何を思ってか股間の前をひらつかせる下着の布地が、彼の印象を極端なものにさせている。
 男の顔を見てげんなりする。そう思えば、男は嬉しそうに片腕を上げ、こちらに足の筋肉を跳ねさせながら向かってくる。
 「お」
 「うるさい、黙れ。トサカ野郎」
 陽皐は、急な言葉にめんを食らった顔をした。
 「おヴァちゃん、俺まだあんも言ってねっぺおー」
 うるさい、黙れ。再び胃から食道にかけてムカつき始める。耳の奥に生温かい感覚が吐け。と命令してくる。
 体をギルドの建物の壁側に向き直り、先ほど胃の内容物でマーキングしたところへ再び胃液を吐き出した。
 喉や胸の焼きつくような感覚がとても苦しい。不本意な逆流が口内を滑る感触はとてもじゃないが気持ちのいいものではない。
 丸めた背中を陽皐がさする。それすらも不愉快だった。
 「色がねっぺなー。おヴァちゃん今日も何も食べてねえべ。水貰ってくるお、ちょっと我慢してなー」
 とっとっとと、軽快な足音が遠ざかるのを耳に聞きながら、若い頃は吐くのが下手で、鼻を通過しては激痛に悶えたことを朦朧と思い出していた。
 今ではもう慣れたものだ。

 陽皐が持ってきた水で口をゆすぎ、少量を飲み込んだ。
 先ほど戻したものの隣に腰を下ろして、男を見上げる。なぜ鼻を摘んでいる。
 「元気そうだな、トサカ」
 「おヴァちゃん基準で見たら皆元気だっぺお」
 目の前が、ヒラヒラと妙に不愉快だ。一度吐けば楽にはなるが、感情的なものはそうはいかない。
 「お前、座れ。目の前で不快なモンゆらめかせんじゃねえ」
 そう言うと素直に従うのだ。正面に座って顔を見てくる。座れ、ではなく帰れと言えば良かっただろうか。
 以前一度だけ、必要に迫られ会話をした時、あまりに学がないので文字を教えようとした。覚えがいいかはさておき、それ以来この男に妙に懐かれている。
 非常に煩わしいのだが、払ってもついてくる。しばらくは突っ返していたが、次第に慣れてしまい、今ではたまに文字を教えたり話をするようになった。
 「おヴァちゃん、あんで飯さ食わねえ?」
 食べていない訳ではない。ただ吐いただけだ。と言うのが面倒で、壁に頭をもたれて目を瞑った。
 「おヴァちゃーん、あんで俺が会う時いつもゲロ吐いてっだ?」
 1日に吐く回数が多ければその分、人と遭遇した際の嘔吐率も上がるだろうな。と言おうかと思ったが声を出すのが億劫だった。
 「おヴァちゃぁーん。臭いー」
 「そう思うなら俺の吐瀉物を埋めろ」
 「いや、誰のモンかっつっだらまだおヴァちゃんのだべ?あんで俺がゲロの世話を・・・」
 「人の役に立ったらどうだ?」
 そう言うと、渋々シャベルを借りてきて、湯気の上に軽く土を被せた。素直な男だ。
 「おヴァちゃーん」
 地面にシャベルを突き立てると、再び正面に胡坐をかいて座った。
 「うるさい、帰れ」
 「おヴァちゃん、魔法見せて欲しっぺお」
 好奇心でキラキラした目が迫る。何も今更魔法が珍しいものではないはずだ。
 「師さんでも誰でも、やってるだろう」
 「おヴァちゃんは何が出来んだ?俺見たことねえ」
 確かに自分に可能な魔法は、火が出るわけでも水が出るわけでもない。光らなければ音も出ない。陽皐が気が付かなくても無理はない。とは言え、この男の前で魔法を使った覚えが一度もないのだから仕方のないことだ。
 しばらく薄目で男の妙な紋を見ながら考え、それからうなじから虫を出す。
 指から離れた虫は、陽皐の目の前をゆっくりと、蛇行しながらもまっすぐ進む。驚いた表情の鼻先をじじじとすり抜け適当なところで直角に曲がった。
 虫が進んだ軌跡を白いような黒いようなブレた色の線で空中に描かれている。それを不思議そうに陽皐は手のひらで触れようとして、空を掴む。
 虫は一見小さくて何かの羽虫のように見えるからそう呼んでいるだけで、実際はうねりを持ったもやのようなものだ。知覚は出来るが触れることはできない。
 「おヴァちゃん、なにこれ」
 「自分で考えろ。トサカ野郎」
 自分は頬を歪ませて、小馬鹿にしたように笑みを作ったが、相手には生憎見えていないようだ。
 陽皐は、目を見開いて虫を追っていた。その妙に子供っぽい姿に、自分の子供の顔が二つ頭をよぎってこめかみが痛み、胸がムカつきはじめる。
 そしてここへ来て3度目になる、ギルドの壁へ陳謝を始めた。
 

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