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なんだろう・・・。得体の知れない恐怖感に襲われたので、気がついたら何か書いていた。
追記にて。
そういえば僕が公開してる小話って、全部尻アスだ。一切の冗談を入れてなかったような気がする。
なんてことだ。
でも小説のギャグって震え上がるほど難しいからねえ。その点尻アスは楽といえば楽。だって普通にしてるだけだから。
笑えないギャグなどギャグではないと思ってるから、今回の小話はギャグではないよ。
突発的に気がついたらやっちゃってました☆なので。

献血行って、血抜いて帰ってきたら3時間ほど昼スリープしてしまい。その罪悪感から。

とりあえず今のところ2名お借りしてます。1名は名前だけ。
コレ、きっと続きます。
ひひん、23日が緊張と緊張と緊張で死にそうだ。

あ、この話の『僕』はお買い得です。
前の話の『私』もお買い得でしたが、文の書き方が違うつもりなんで分けました。

 

 眼球を通して映写される天井、壁。
 抜け殻のような脳みそが認識したのはただそれだけで、今のところ何も思うことはない。
 次第に体が痛むことを思い出した。左手の指先がいやにしびれる。僕はベッドの上で寝返りを打った。
 左目に映る景色が急激に変化する。向かいのベッドの獣のような少年は背を丸くして眠っているのが見えた。
 鼻孔をくすぐるシーツの匂いも虫の密やかな鳴き声も、窓からこぼれる月の明かりもまるでたった今全て存在を露にしたような急激な感覚に襲われた。
 脳が覚醒したと思うと、一気に心拍数が跳ね上がる。
 自分は今こんなことをしていて良いのだろうか。決して柔らかくはないが、屋根のある寝床でただ安穏と眠りについていて良いのだろうか。今こうしている間にも誰か恐怖に苦しんでいるのではないのか。
 そんな考えが浮かぶと、頭の中がカッと熱くなるような気がする。
 何かしないといけない。
 僕は何か出来ることをしなければならない。
 枕に顔をうずめた。何もしないで眠ることがただただ苦しい。
 力が及ばなかったばっかりに亡くしてしまった人たちの顔が浮かんでくる。それは際限なく次々と。
 握り締めた拳の中で爪が食い込んで痛くなった頃、僕はじっとりと汗ばんだ体を起こした。
 以前の僕は、こんなことを考える前に走り出していた。
 手にした凶悪に重い杖もなんてことなく、疲労はもはや心地よかった。走っている間は、何も苦しくなかったし、何も怖くなかった。
 布団とシーツのこすれる音にニックルの耳が反応する。
 僕は枕元に掛けてあった杖を手に取ると、極力足音を立てないで部屋を出た。
 廊下に立つと首に手を当ててみた。相変わらずひどい脈動だ。
 どうして僕はこんなところで棒立ちしているのだろう。なぜ以前のように走り出さないのか。不安が心臓を叩き続ける。
 疑問の答えは分かっている。僕はもう僕が壊れるのが怖くなってしまったのだ。
 死ぬのが怖くないつもりはなかったが、以前にも増して自分というものを失ってしまうのが怖ろしい。どうしてそんなことで二の足を踏んでいるのか。分からないことがわからなくなってきた。
 どうして以前は怖くなかったんだろう?
 通路の頭上に灯されたわずかな明かりを頼りに、僕は便所に行くことにした。
 悩んだらまず排泄だろう。
 何か柔らかいものを踏んだ。体内からの開放に対して思いを馳せている時に柔らかいものを踏むと、非常に嫌な物を想像してしまう。
 「ちょ、いたいいたーい!この超重量!今すぐ足をどけるんだ!」
 汚物が喋った。
 見ると、やはりソレらしいものを連想させる色合いの、一応ぬいぐるみが居た。僕の足元でのた打ち回っている。
 丸くて非常に単純なフォルムの犬のようなぬいぐるみだ。以前から良く見かける。偶然なのか、後からこっそりつけているのか、この旅ぐるみは僕らの宿に頻繁に出没する。
 最近見慣れてきたせいなのか、旅の友たちはこの得体の知れない怪生物からの依頼を受けるようになった。謝礼もないのによく受けるな。と冷やかす仲間も居るが、それに関しては僕は何も異論はないのだが。
 何を思ったのかここ数日、この奇妙なぬいぐるみは僕に対して「お兄ちゃんだよ」などと言い始めるようになった。なぜだか非常に気分が悪い。
 そのことに対して、何を言っているんだ。と返せば、何か知っているのか僕以外の仲間が、僕に対して哀れそうな目で見てくる。
 どうしてぬいぐるみが僕の兄なのだろうか。
 「ホォラ!永久凍土もとろかす熱視線送ってないで、いいからその足をどかすんだ兄弟!」
 なぜかイラッとする。
 このぬいぐるみに関連する依頼として、別の喋るぬいぐるみを見かけることになるが、ことごとくこのぬいぐるみと違って可愛らしいのだ。そもそもぬいぐるみが変声期過ぎた20前後の若い男の声で喋ること自体が色々不気味なのだ。
 「だーかーら、それ以上踏むと口から綿出しちゃうよー!いいのー?匂うよー!」
 別の部屋から誰かが起きたような物音が聞こえたので、僕はしぶしぶ足をどかした。
 こいつの声が大きいのがいけない。
 「おおう、なんという開放感!浮かび上がりそうだ跳ね上がりそうだ飛び上がりそうだ!もうなんと言うか、何にも縛られないっていいよブヒュヘ!」
 僕は綿が出ないように、今度は顔面をめがけて足を下ろした。
 隣の部屋からドタドタと音が聞こえる。誰か完全におきてしまったようだ。そのすぐ後、バタリとドアが開いて疲れた上に寝不足のお父さんのようなヴェイタが飛び出してきた。
 「ぅるっせーぇな、夜は静かにするもんなんだよ!」
 これもまた声がでかい。
 彼は振り返った姿勢の僕を見て、すぐ足元に目をやった。彼なりに状況を理解したのか眉間にしわを寄せると、先ほどのような剣幕はなくなった。
 僕は僕で、裸足の足の裏でもぞもぞと動くぬいぐるみが少々くすぐったい。
 「・・・ごめんヴェイタんおっつあん、そんなにかかんないから」
 自分でも何が言いたいのかわからなかったのに、ヴェイタは理解したのか、「ああ・・・手短にな」と眠たそうに目をショボショボさせながら部屋に戻っていった。
 さすがに今度は静かになるだろう、とゆっくり足を上げると、ぬいぐるみは本当に静かにしていた、見上げるように何かを凝視している。
 「・・・いつもな、犬とかネコとかの視点ってスカートの中身見放題じゃーんとか思って、時々実行してるんだけどな。男もやっぱ気をつけたほうだいいだろ」
 僕の格好は、薄手の下着に少しサイズの大きいパンツ一枚だった。もう一度下ろしたかかとの勢いで、床が震えた。
 このぬいぐるみは暗いところも良く見えるようだ。
 
 便所はすでに占拠されていた。
 あのぬいぐるみに会う以前から受けている嫌がらせだ。ミリと名乗った女の子が、僕が入ろうとする便所を毎回占領して出てこないのだ。
  ノックすると聞きなれた「入っている」が返ってきて、僕は落胆した。
 「あなたは何がそんなに怖いの?」
 「開放を求めた。ところが閉ざされていた、もしかしたら僕の門は非常に意に介さない形で開放してしまうかもしれないという恐怖だよ」
 端的に言えば尿が漏れる。
 「本当はそんなことが問題じゃないでしょう」
 「どうして大いに問題があると取ってくれないんだ」
 「わたしはあなたがどうなろうが知ったことじゃない」
 「なんという無情。それは僕にこの場で漏らせと言っているんだぞ」
 相変わらず会話内容は支離滅裂で、僕が言っていることは全て無視される。彼女は何がしたいのだろう。
 「カイエはただ、変わってしまうのが怖いの。でもその変わってしまう原因が分からなくてどうしたらいいのかわらかないのね。なんて哀れなんだろうな」
 奥歯にガチっと力が入った。彼女自身、こういったことでしか自己表現できない子だということは分かっている。それでも馬鹿にされて腹が立たないほど、僕は人間が出来て居ない。
 「じゃあキミは、全部わかってるのか。何も怖くないのか」
 「わたしはわたし含めて何もかもが怖い。だって何をするかわからないから。きっとあなただってそのはず。ただ少し感覚が麻痺してるだけで。でもそんな話がしたいんじゃないの。怖いのが辛いんだったら、誰かに甘えなさい。足元にすがり付いて鼻水まみれの顔でお願いだから僕を愛して。と誰かに言えばいいんじゃないかしら」
 「ふざけるな」
 「すぐ終わる用事なら、ここでしないで外でしてくれない?わたしはここから出られそうもないの」
 ざらついた表面の怒りがざわざわと皮膚の上を這う、僕はぶっきらぼうに「そうする」と早口に答えてそのまま外に出ることにした。

まだ続く

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